初めてのフィルムカメラの選び方

当店にいらっしゃるお客様は約半数がフィルムカメラが初めての方です。

フィルムカメラについてお調べになってきてくださる方もいれば全く何も調べずにいらっしゃる方もいらっしゃいます。

もちろんどんなお客様にも、お話を聞いたうえでお勧めするカメラを決めていくのですが、今回は「初めて使うカメラとしてのおすすめ度」を紹介できればと思います。初めて買う方も、ステップアップを考えている方も、デジタルに飽きちゃったな、ちょっと変化が欲しいなという方もぜひご覧くださいませ！

AFコンパクトカメラ　　初心者おすすめ度　★★★★★

オートフォーカス、自動露出搭載のフィルムカメラです。

Canon AutoboyシリーズやPENTAX ESPIOシリーズに代表される、「簡単に撮れるカメラ」の代表格です！

価格帯も当店であれば3,000円～と安価に始められますし、こだわる方ならCONTAX T2などの高級コンパクトもあったりと、とにかく手軽に写真を撮れるのが魅力ですね！

こんな人におすすめ！

・とにかく安くフィルムカメラを始めたい！
・マニュアル設定など難しいことを考えずにシャッターを押すだけで撮れるカメラがいい！

AFコンパクトカメラのメリット

・とにかく簡単にフィルム写真を撮れる機種が多い！
・小型軽量で持ち運びが楽な機種が多い！
・ズームレンズやフラッシュを搭載している機種も多く、様々なシーンに対応できる！

AFコンパクトカメラのデメリット

・AFがあいまいな部分があり、思ったところにピントが来ないことがある。
・レンズ交換ができない
・ファインダーの構図と実際に撮れる写真とのギャップがある。一眼レフと違い、ファインダーがレンズと分離しているので、思った通りの構図とならないことがあります。
・シャッタータイムラグが大きい機種も多く、カメラが「これはシャッター切れないよ」と判断したらシャッターが切れないという頑固な一面も。
・機種によっては交換電池が高価。CR123Aや2CR5など、少し手に入りにくくなった電池もありますので注意が必要です。
・修理部品がすでになく、修理不能な機種も多いため、当店では保証はほぼ付けられませんし、いつ壊れるかが読めない場合が多い。

AFコンパクトカメラの一例

OLYMPUS μ-II

OLYMPUSの大人気フィルムコンパクトカメラです。
スタイリッシュな見た目もさることながらレンズ性能も高く人気のカメラです。

Konica　現場監督28WB
コニカが工事現場などの記録用に発売したカメラ。
28mm単焦点レンズは、AF性能も相まって誰でも克明に現場を撮影できるための優秀なレンズです。

PENTAX ESPIOシリーズ
PENTAXのAFコンパクトカメラシリーズで、焦点距離の違う多くの種類があり、スタイリッシュなものから超望遠まで、自分に合ったものを見つける楽しみもありますね！

AF一眼レフカメラ　　初心者おすすめ度　★★★★☆

オートフォーカス、自動露搭載の「レンズ交換式」フィルムカメラです。

Canon EOSシリーズやMINOLTA αシリーズが代表的で、簡単に撮れてレンズ交換も楽しめるのが魅力です！

価格帯は当店で3,000円～と安価で、こちらも手軽に始められて少し追い込んだ設定もできるのが魅力ですね！

こんな人におすすめ！

・安くフィルムカメラを始めたい！
・AFは欲しいけど、絞りやシャッタースピードも変えられる機種がいい！
・レンズ交換でいろんな焦点距離やF値の違いを感じたい！

AF一眼レフカメラのメリット

・簡単にフィルム写真を撮れる！
・さまざまな設定を追い込むことができる！
・ファインダーで狙った通りの構図で撮ることができる！
・交換レンズを使うことで、多様なシーンに対応できる！
・シャッタータイムラグが少ないので狙ったシーンを逃しにくい！
・交換レンズが安価なものも多い（標準ズームレンズなら数百円～購入できることも）

AF一眼レフカメラのデメリット

・大きくかさばるため、持ち歩くにはそれなりの準備が必要
・プラスチックボディ、グリップはの加水分解が進んでべたついてるものもある
・機種によっては交換電池が高価。CR123Aや2CR5など、少し手に入りにくくなった電池もありますので注意が必要です。
・修理部品がすでになく、修理不能な機種も多いため、当店では保証はほぼ付けられませんし、いつ壊れるかが読めない場合が多い。
・造りが簡素化されていたり、パーツにプラスチックが増えている影響で壊れているものが多いので、中古を買う際は特に注意が必要

AF一眼レフカメラの一例

Canon EOSシリーズ
キヤノンの現在まで受け継がれるEOSシリーズ。アダプタを使用すれば現代のRFマウントにも変換できるレンズ群が魅力的です。

MINOLTA αシリーズ
世界で初めてフィルム一眼レフカメラでオートフォーカスを搭載したのがこのαシリーズ。
交換レンズにも優秀なものが多く、Aマウントはその後ソニーに引き継がれており、純正のLA-EAアダプタで最新のSONY αに

MFコンパクトカメラ　　おすすめ度　★★★★★

ピントを自分で調整し、露出はオートやマニュアルを選んで使用できるカメラです。

ピント合わせはマニュアルで、絞りやシャッタースピードはオートであったりマニュアルであったり様々ですが、自分である程度設定をしたい方もこちらのジャンルを検討してもいいかもしれません！

価格帯はきちんと動くものですと5,000円から、整備済みのものであれば2万円弱からと少し値は張りますがその分手をかけて撮れる写真はまた格別ですよ！

こんな人におすすめ！

・手間をかけて撮影を楽しみたい！
・露出の仕組みを学んで、ステップアップしたい！
・露出決定は自信がないけどピント合わせくらいは自分でやってみたい！

MFコンパクトカメラのメリット

・自分で設定できる幅が増えて、露出に対する理解が深まる！
・目測やレンジファインダーでピントに対する理解が深まる！
・多くは単焦点なので、しっかり撮れた時の描写の良さはやみつきに！
・レトロな見た目の多いので所有欲も満たされる！
・壊れても修理可能な機種が多いので、安心して使える！

MFコンパクトカメラのデメリット

・慣れないうちは設定のミス、シャッターチャンスを逃すなど、とにかく失敗する。
・AFコンパクトに比べるとやや重い。
・レンズ交換ができないため、焦点距離の違いを求めて結局他のものも欲しくなる。

MFコンパクトカメラの一例

OLYMPUS PENシリーズ
ハーフサイズカメラといえばPENシリーズ！
二倍撮れるのでお得感もありますね！
非常に多くのバリエーションがあり、フルマニュアルのもの、大口径レンズ搭載のもの、自動露出で失敗防止の機能が付いているものなど、入門からステップアップに最適なシリーズです！

Konica III
コニカが発売したコンパクトカメラで、ヘキサノンレンズの秀逸な写りで大人気となったカメラです。
フルマニュアルで、レンジファインダーによるピント合わせ、巻き上げとシャッターチャージは「まねきねこ」とも呼ばれるボディ前面のレバーで行います。

Konica C35
こちらもコニカから、小型のレンジファインダーカメラで抜群の描写、見た目もとにかくかわいい一台です！
プログラムオートでピント合わせに集中できるのもグッドです！

MF一眼レフカメラ、レンジファインダーカメラ　　おすすめ度　★★★☆☆

ピント、露出決定まで自分で！一番撮影体験を感じやすいのがこのジャンル。

年代が新しいものだと露出計が内蔵されていたり、絞り優先、シャッタースピード優先が付いていたりと、初心者をアシストする機能があるものもあります。

写真を一から作っていくような感覚がたまらない、こだわり派の人向けですね！

こんな人におすすめ！

・手間をかけて撮影を楽しみたい！
・露出の仕組みを学んで、ステップアップしたい！
・ピント合わせも自分で、構図やボケを駆使して作品を追い込みたい！
・はじめはとにかく失敗して、そこから学んでステップアップ！

MF一眼レフカメラ、レンジファインダーカメラのメリット

・自分で設定できる幅が増えて、露出に対する理解が深まる！
・レトロな見た目のものが多いので所有欲も満たされる！
・壊れても修理可能な機種が多いので、安心して使える！
・ファインダーを覗いた時の没入感がたまらない！
～一眼レフの場合～
・構図を正確に決められる！
・シャッター音も大きく、所有感や撮影時の満足感がある！
～レンジファインダーの場合～
・慣れると非常に早くピント合わせができる！
・シャッター音が静かな機種が多く、スナップ撮影に最適！
・レンズが小型、高性能なものも多い！

MF一眼レフカメラ、レンジファインダーカメラのデメリット

・慣れないうちは設定のミス、シャッターチャンスを逃すなど、とにかく失敗する。
・交換レンズを用意しないと焦点距離の違いによる構図の変化を持たせにくい。
・大きく重いため、持ち出しにはそれなりの気概が必要。
・レンジファインダーの場合は、ファインダーの構図と実際に撮れる画に違いがある（視差、パララックス）。
・一眼レフの場合はシャッター音が割と大きい。

MF一眼レフカメラ、レンジファインダーカメラの一例

Nikon Fシリーズ
Nikonが世界に誇る一眼レフカメラ、Fシリーズの歴史は写真のFから始まりました！
日本の一眼レフカメラが世界を席巻するきっかけとなったカメラといっても過言ではありません。
専用レンズのNIKKOR(ニッコール)は、非常にシャープでキレのいいレンズが多く、現在においても非常にファンが多いです。

Leica M3
レンジファインダー搭載カメラ、そして世界中の小型カメラの最高峰がライカです。
職人の手作りによる精巧な造り、正確なピント合わせ、優秀なレンズ群。
どれをとっても一級品です！お値段も一級品…ですがこれがカメラの終着点…としている人も多く、初めての一台にこれを選べばかえって余分な出費を抑えられる…かもしれません笑

中判カメラ、大判カメラ　　おすすめ度　★☆☆☆☆

通常のフィルムカメラより大きなフィルムを使うカメラで、何が一番お勧めできないかといいますと、とにかく撮れる枚数が少ない！
せっかくフィルムカメラを始めるのに、10数枚しか撮れないのはやや物足りないかもしれません。

非常に表現力が豊かで、大きいフォーマットならではの高画質が魅力なのですが、初めての一台におすすめか…といわれるとちょっと勧めにくいかなという感じです。

ただ魅力的な商品は多く、PENTAX 6ｘ7など割と使いやすいものがあったり、二眼レフのように見た目が非常に魅力的なものも多いため、使ってみたい！という強い気持ちがあるならば全力でサポートいたします！

中判カメラ、大判カメラの一例

PENTAX 6ｘ7
35mm一眼レフをそのまま大きくしたようなスタイリングの中判カメラです！
操作感も35mm一眼レフとほぼ一緒ですので、35mmからのステップアップにも最適なカメラですね！

ROLLEIFLEX
二眼レフカメラの最高峰といえばローライフレックスです！

おわりに

あくまで店主の主観でカテゴリ分けをしておすすめ度をご案内したわけですが、今回はあくまでも「最初の一台にするなら」という観点からお話ししました！

もちろんどのカメラを使っても、しっかりそのカメラの機能や癖を把握して使わなければいい写真は撮れないでしょう。

色々書きましたけども、カメラに関しては「弘法筆を選ばず」でもあり、「弘法筆から選ぶ(造語)」でもあると思います。

どんなカメラでも使いこなす意志さえあればしっかりカメラが撮れる。（弘法筆を選ばず）

まずは見た目から気に入ったものを使って、そのカメラに合わせて成長していく（弘法筆から選ぶ）

どうぞご自分に合ったカメラを見つけにカメラ屋へお出かけしてくださいませ！