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目的地が定休日であったり、流氷のニュースに惹かれて網走へと舵を切ったり。
セレクトを前提とした撮影ならボツにするであろうこれらの「過程」や「迷い」こそが、ここでは「漂」というタイトルの通り、あなたの撮る写真を物語っています。
特に終盤、網走へと至る静謐な雪景色から、曾祖父が見ていたであろう海へと辿り着く流れには、時空を超えた血縁の物語が定着されているようです。
そして、夜の光が流れるカット。これは単なる「手ブレ」ではなく、漂い続けるあなたの行動原理を表しているのではないでしょうか。
計画の挫折さえも旅の一部として受け入れる。その揺らぎを曾祖父のカメラで受け止めた写真たちに引き込まれました。

作品ステートメント
私は曾祖父に似ているとよく言われて育ちました。行先を告げて家を出ても気付けば別の土地にたどり着いているような人だったそうです。
その曾祖父が最後まで使用していたカメラを手に、好きだった和商市場や川湯温泉を目指し、一本のフィルムを撮影しました。
しかし和商市場は定休日で、流氷接岸のニュースに心が動き網走へ向かうなど、旅は次々と形を変えていきました。計画ではなく、その時の衝動に身を任せる。その感覚にどこか重なりを感じました。
一本のフィルムに残したのは整えられた旅ではなく、選択の連なりです。最後の数枚には、漁師だった曾祖父の見てきた海を収めました。