入選 エントリーNo.34「旅と日常」鎌田 美奈子

作品ステートメント

なし

審査員講評 シュンオサダ

「旅と日常」。この一本のフィルムの中で、視覚と思考の鮮やかな転換を表現されています。

飛行機の窓から始まった視線は、中盤、色彩豊かな景色を捉え、終盤にはモノトーンの吹雪く札幌へと引き戻されます。この激しい温度差こそが、旅をする者が抱える「非日常への憧憬」と「逃れられない日常の重み」を克明に表現しているようです。

本作は、肌感覚に近い「空気の質感」を定着させているように感じます。

雪に霞むテレビ塔から、フィルムの最後を飾るアイスキャンドルの柔らかな光へと至る流れ。旅の終わりに、冷え切った日常を温めるような「光」を見出したあなたの視座には、ドキュメンタリー写真としての確かな誠実さと希望が宿っているようです。

「旅」という夢から覚め、雪国の「日常」へと着地する。その一連の呼吸をフィルムの粒子に閉じ込めた、非常に説得力のあるワンロールでした。